いのち輝く元気野菜のひみつ あとがきより

 7年前、自分の生きる道は実際に農業をやることなんだと気づき、農業改良普及員として働いていた長崎県職員をやめる決心をしました。ちょうどその時、私の師匠赤峰勝人先生との出会いがありました。先生は全国的に有名な百姓で、虫や菌を神虫さん、神菌さんと呼んで、敵ではないことを教えてくれました。まさにビックリ仰天の話でした。目からウロコが落ちて目が輝いてきたように思います。「これが本当ならスゴイ!世の中の見方まで変わる!よし、自分も体験するぞ!」自分の農業の指針をもらいました。
 県を退職して3年間、最初のうちは夜明け前から夜更けまで本当に働き通しでした。振り返ってみるとよくもあそこまで出来たのは、両親・親戚・先輩の大反対の声援のおかげだと、今になって感謝しています。特に両親には途方もない心労をかけてしまいました。今は亡き母もようやく安心してくれているのではと思っています。
 私は農業の新規参入者です。ですから農地は全て借地、しかも1カ所に固まらず、貸していただけるところをあちこち借りて大変効率が悪いです。このことも私にとっては本当に幸いでした。いろんな条件の土を体験でき、土1つで同じ野菜がこんなにまで生育が違ってしまうものなのか、身にしみて貴重な体験ができました。
 これまでの体験で、無農薬無化学肥料の元気野菜作りにはどうにか自信がついてきました。同時に、このままの生活を続けるとまもなくこの社会は大変なことになるという思いが強くなりました。このまま自分が何もしなかったら、あとから自分の子どもにも申し開きが出来ないと思い、市民運動に関わり始めました。
 この本の内容は、30歳まで普通に生活してきた私が、いのちの情報と巡りあい、有機農業の体験の中で私なりに理解できたことを書いたものです。ですから、中味は浅く恥ずかしい限りですが、逆に入門としてわかりやすくなったのではと思います。
                                       吉田俊道
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