風力発電「どこでもエネルギー」の時代へ


足利工業大学教授の牛山泉先生の講演をお聞きしたのは2003年3月28日東京での研修会でした。NHKプロジェクトXでも山形県の取り組みで紹介され話題になりました。

先生のロマンあふれる取り組みと優しい人柄が表れている素晴らしい講演内容に、とても感動しました。(中尾報告)

山形県立川町では「日本三大悪風」と呼ばれる「凶風」に悩まされていましたが、この災いの風を利用しようと1992年から風車を立て始め、現在では11基の風力発電機が稼働し、町の住民の電力の70%以上をまかなっています。
「災いの風が恵みの風に」変わったのです。

デンマークの洋上風力発電のようす。
ヨーロッパには240基の風車が海に立ち並び、396MWもの発電容量に達しています。
日本は国土は狭いですが、海岸線は世界有数の長さです。

牛山先生はカトリック信者でもあるそうで、内面の奥深い人間性と優しさを感じさせられます。牛山先生に出会い、夢をもらった気がしています。

そして、牛山先生の紹介で、聖和女子学院駐車場下のゴミ集積場に風力太陽光外灯を設置することができました。
聖和の十字架をバックに風車が回っています。
聖和にエネルギー環境教育活動のモニュメントとして設置したこの外灯について、牛山先生から以下のようなコメントをいただいています。

『同じ自然エネルギーでも、太陽光は効果的ですが静止しているのに対して、風車は弱い風でも回りますし、いかにも一生懸命仕事をしている?という感じです。
サン・テグジュペリも「本当に大切なものは目には見えない、心の目で見なければ」といっております。風車は目に見えない風を見せてくれる役割も果たしているわけです。』

私達の活動はこの「目に見えないもの」を大切にする心を育てることを目指していきたいと思っています。

「やさしい風・風車・風力発電の話」
風車博士の牛山泉著:足利工業大学教授
合同出版 1400円
2004年夏、牛山先生が中学高校生に向けて、右のような本を出版されました。

〜牛山先生からのメッセージ〜
21世紀は、太陽の光や熱、あるいは風などから「どこでも・だれでも・かんたんに」クリーンな自然エネルギーをつくることができる「どこでもエネルギー」の時代がくると信じています。
世界を平和で持続可能な社会に変えてゆくためには、化石燃料(石炭・石油・天然ガス)を奪い合わなくてもすむエネルギーのしくみをつくり出す必要があります。
これからの「宇宙船地球号」を担う、十代の皆さんにこの本を贈ります
〜牛山先生の著書より抜粋〜

21世紀は自然とともに生きる時代

今後、風力発電は、陸地から海に、岬、島、山岳、砂漠、さらには極地圏へと風を求めてどこまでも拡大してゆくものと思います。私たちも「宇宙船地球号」のエネルギーを守っていくという、地球的な観点から長期的な展望に立って技術開発を推進してゆくことが大切な課題になっています。
 日本では、古くから、人は自然と一体感をもち、地震や台風などの天災さえも受け入れて自然と共生してきました。大きな自然があって、その中に人が生かされていると感じてきました。そのような東洋の思想や仏教の教えに通じる大自然との「和」の意識が、わたしたち日本人の感性をはぐくんできました。
 ヨーロッパではキリスト教の影響もあって、古来、人間と自然を対立関係においてきました。20世紀はその「自然を征服する」という発想からの、西洋型文明の世紀であったといってもよいでしょう。そのひずみが地球環境問題となってあらわれてきたと考えることができます。
 21世紀は、自然とともに生きる東洋的、日本型文明の時代なのです。「持続可能な社会の発展」は自然豊かな恵みをいただくことによって、はじめて保障されます。自然からエネルギーを取り出すのではなく、自然の恵みの一部を使わせていただくという発想です。世界に向かって、日本からこのさわやかなメッセージを発信しましょう。
〜牛山先生著書より紹介〜昭和の初めごろによく知られていた詩だそうです。

「本気」

本気ですれば
たいていの事はできる
本気ですれば
何でも面白い
本気でしていると
だれかが助けてくれる
人間を幸福にするために
本気ではたらいているものは
みんな幸福で
みんなえらい
inserted by FC2 system