平成16年8月10日
福井県美浜原子力発電所横、「高速増殖炉もんじゅ」の視察
もんじゅは一切撮影禁止でした。
検問があり1kmのトンネルをくぐると機動隊の検問があり、その先に大きくそびえ立つ「もんじゅ」がありました。1兆円の国家予算をつぎ込んでの研究開発です。
10年前のナトリウム漏れ事故以来、10年間、運転を休止していますが、その間もナトリウムは冷えると固まる金属(融点:98℃)なので、電気で加熱されて、核燃料棒のまわりを回り続けています。
最高裁判所の判断で許可が出次第、運転開始する計画で、待機状態でした。

ナトリウム漏れに備えて、消防訓練のようす。

ナトリウムは水にふれると爆発して反応します。
もんじゅでは、これまでの原発が水で熱を運んでいた部分を液体状のナトリウム金属で熱を運びます。

消防訓練の体験です。
酸素マスクをつけています。

炭酸ナトリウムをふりかけて消火します。

月面着陸?完全武装?
人間の力のおよばない世界へ踏み込むのかな?

もんじゅナトリウム漏れの原因となった、折れた温度計の実物。高温のナトリウムが漏れ出すとそのまま燃え始め、水酸化ナトリウムが充満します

美浜原子力発電所周辺は報道人でいっぱいでした。2次冷却水配管が破損し、加圧パイプから多量の高温蒸気が噴き出し、作業員11人死傷4人死亡…
最悪の事故です。

前日の事故の取材のため報道陣が集まっています。

小さな町に作られた巨大な原子力発電所です。
近くは海水浴場の名所で自然豊かな場所です。
もんじゅの側にある村は15戸しか家がなく、長男以外は村をでなければならないしきたりがあり、15戸を保っています。畑や田が限られており、生活を守る知恵だったようです。

松の立ち枯れが多く目立ちました。原因は不明とのこと。松食い虫ではないそうです。日本海側の酸性雨が原因ではないかという説が濃厚らしいです!?

エネルギー教育プログラム作りを連日夜は9時や10時まで検討し情報交換した有意義でハードな3日間でした。
私(中尾)はもちろん?生ゴミリサイクルの実体験から来る、心の教育を根底に進めていきたいと提案を出しました!

福井大学、エネルギーシステム研究所、エネルギー環境教育情報センターの皆さん、全国から参加された18名の先生方、お疲れ様でした。
福井県でのエネルギー教育研修に参加してきました。
着いて研修の真っ最中に美浜原発の事故。複雑な思いでみておりました。
美浜原発は報道陣であふれかえっておりました。
1兆円かけて開発された高速増殖炉「もんじゅ」をみてきました。
確かに技術と設備はすごいものがありました。
これを全国に作ろうと考えているのか…(私にとっての原発は、新エネルギーの開発が進むまでの「つなぎ」と理解していたのですが、水面下で進む大きな動きを感じ、答えのでない複雑な思いを抱きました。)

人間社会の便利快適を求める欲の追求の結果のエネルギー環境の問題が、高速増殖炉で解決できるとは思えません。エネルギー環境の問題は生き方考え方の問題だと思うからです。

仮にエネルギー供給の面が解決できたとしても、ますます社会の問題は大きくなることは明らかです。自然の循環の意識なくしては、ますます暴走していくばかりのように思うのです。
循環の意識を根底に、科学技術の開発がなければ、エネルギー供給がなされても環境問題はますます増大するばかりでしょう。

 教育現場が伝えるべき役割を真剣に考える研修会となりました。
小泉首相がESD「持続可能な開発のための教育」10年計画の推進を打ち出したそうです。
「自然界の循環」を理解し、「循環の意識を育てる道徳教育?」が抜け落ちては、大変だ…と今後の動きが気になるところです。
「生み出すことと処理すること」に一生懸命で、経済性が最優先されてしまう社会の中では、心の教育が追いつかなくなりそうです。

エネルギー問題も環境問題も食の安全も犯罪増加も化学物質(環境ホルモン)の問題も、「人間の生き方」という「心の元」を正さなければ、対処療法ではとても追いつかない状況です。
社会では「対処療法」で仕方ないにしても
教育現場は,元を正す努力「原因療法」に力をそそぎたいものです。(中尾慶子)
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