花高小学校教諭 藤田律子先生の感想

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 私がこの「生ゴミリサイクル」を知ったのは、2年前の3月です。パールシーで開催された『させぼっ子環境サミット』に、エコクラブに取り組んでいた花高小の3年生が選ばれ、実践発表をすることになりました。その時、花高小の他には、早岐小、福石中と聖和女学院高校が発表しましたが、その聖和の発表が「生ゴミリサイクル、いのちの循環」だったのです。その時に食べさせてもらった塩ゆでブロッコリーの甘かったこと!生ゴミで土ができ、その土で野菜が作れるなんてすごい!やってみたい!と強く思いました。
 それから2年後、私はまたこの学年を受け持つことになりました。この子達と、何とかして、あの「生ゴミリサイクル」をやりたい、と思った私は、緊張しながら「大地といのちの会」のイベント会場に、代表の吉田俊道さんを訪ねて行ったのでした。吉田代表は,とってもあたたかい方で、超過密スケジュールにもかかわらず、野菜栽培初挑戦の私に「いっしょにがんばろう」と協力を約束してくださいました。

  私が、この「生ゴミリサイクル」の活動がすばらしいと思う理由は3つあります。
1つ目は、子供達の手でリサイクルが完結するということです。 私は、かなり前から環境学習に興味を持ち、実は、これまでにいろいろとやってみました。しかし、空き缶にしろ、牛乳パックにしろ、集めるだけ集めて、業者に渡したら、その後どうなったか子供達には分からないことが多いのです。場合によっては、リサイクルをしようと取り組んで、逆にゴミを増やしてしまうことだってありました。 ところが、この「生ゴミリサイクル」では、生ゴミが土に変わり、その土で野菜ができるという「いのちの循環」が、子供達の目の前で起こるのです。ゴミが消えていく時、野菜が育っていく時、子供達はいのちを実感し、感動を味わいました。 これこそ、本物のリサイクル活動だと思います。

  2つ目は、子供達の「汚いもの」に対する感覚が変わっていったということです。 今日の日本人は、極端に「汚いもの」を嫌い、身の回りから汚いものを排除し、手を汚さずに生活しています。 それは、小学校高学年の子供達にも深く浸透し、汚いことや臭いことは彼らにとって許されないものであり、いじめの対象にもつながることなのです。 ところが、この「生ゴミリサイクル」の活動をしているうちに、言葉ではなく、体験を通して、「汚いもの」は、私たちが生きていく上で、なくてはならないものであり、「汚いもの」があってこそ、いのちが循環しているということを、考えたというか、感じ取っていきました。 自然や土とふれあうことで人間は心穏やかになると言われますが、こんなにはっきりと変わっていくものなのだなぁと思いました

3つ目は、「食育」に発展できるということです。 「いのちいっぱいの土で育てた野菜は、栄養たっぷりの元気野菜になる。 それと同じように、いのちの詰まった食べ物をしっかり食べれば、体の中からやる気が湧いてきて、元気いっぱいになれる。」 はじめは半信半疑という感じだった子供達も、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月と取り組むうちに、自分自身の中の、何かが変わったことに気づき始めました。 『食を変えれば元気になる』というのは、間違いないと思います。 今や、学力充実は、食と睡眠時間の見直しからという説もあるくらいです。でも、いいと分かっていても、なかなか自分の生活を改めることはできないものです。それができたのは、やはり、活動をして、土や野菜のいのちを実感したからではないでしょうか。

もちろん失敗もしました。土づくりは1週間に一度、生ゴミのある分しかできません。他の学年が、ぱーっと肥料をまいて、ぱーっと植え付けをするのを横目で見ながら、一区画ずつ土づくりをしていて、植え付けの好機を逃し、土はできたものの、何も植えられないということもありました。 これだから有機農業は大変なんだとも思いましたが、人間の都合で、土に無理をさせるやり方は、やはりおかしいとも思いました。昔のお百姓さんは、植え付けの時期から逆算して、ちゃんと土づくりをしていたんだなぁ、と先人の知恵に思いをはせたりもし・・・いろいろ勉強になりました。
この活動にご賛同くださり、家庭で子供達と一緒に取り組んでくださった保護者の皆様、ありがというございました。そして、お忙しい中、何度も花高小まで来て、熱心に指導してくださった、吉田代表をはじめ「大地といのちの会」の方々に心から感謝いたします。

この活動に取り組んで、8ヵ月。 私自身、ものすごく変わりました。 何より、手押しの耕耘機を自分一人で扱えるようになりました! 人に頼っていたことも、自分でできる、自分でしようと思うようになりました。 今まで苦手だった農作業、やってみたら本当に楽しかった。  自分の考え方や生活の仕方まで変えることができるのが、この活動の本当に優れた点だと思います。
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